今回は個人山行で行かれた尾瀬(おぜ)のようすです。
尾瀬は、群馬県・福島県・新潟県にまたがる、日本を代表する山岳湿原です。
広大な「尾瀬ヶ原」と神秘的な「尾瀬沼」を中心に、燧ヶ岳(ひうちがたけ)や至仏山(しふつさん)などの名峰に囲まれています。
そして、本州最大級の高層湿原として知られ、多くの貴重な高山植物や野生動物が生息しています。
春のミズバショウ、初夏のワタスゲやニッコウキスゲ、秋の草紅葉など、四季折々の美しい景観が訪れる人々を魅了し、
その豊かな自然は学術的にも価値が高く、特別天然記念物やラムサール条約登録湿地として保護されています。
2007年には尾瀬国立公園として独立し、日本有数の自然保護地域となりました。
木道が整備されているため、湿原を守りながら気軽に自然散策や登山を楽しめるのも尾瀬の魅力です。
雄大な景色の中を歩けば、鳥のさえずりや風に揺れる草花、澄んだ空気に包まれ、日常では味わえない癒やしを感じられます。
「自然保護発祥の地」とも呼ばれる尾瀬は、美しい自然と共生する大切さを教えてくれる特別な場所です。
そんな尾瀬を実際に歩いて感じた魅力や登山の様子を以下にご紹介します。
1泊2日で初夏の尾瀬ハイクに行ってきました。
参加者11人のうち尾瀬が初めて!山小屋が初めて!というメンバーも多く出発前の準備段階からワクワク・ドキドキの山行となりました。
コースは
1日目 鳩待峠~アヤメ平~見晴 (弥四郎小屋 泊)
2日目 見晴~(東電小屋経由で)尾瀬ヶ原~山の鼻~鳩待峠
高低差は少ないものの両日約10kmの十分尾瀬を満喫できる行程です。

天気予報には雨マークがあったので、
スパッツとザックカバーを装着して出発です。

鳩待峠からのメインルートは
尾瀬の看板横の入り口から山の鼻を経て尾瀬ヶ原へ向かうコースですが、
我々は反対の東側、トイレの脇の「アヤメ平方面登山口」から出発します。


スタートは樹林帯の中、
約400mの標高差を緩やかに登っていく行程です。
途中でぬかるんだ箇所、朝露に濡れた笹などが多くスパッツ必須のコースです。

開けたところに出てきました。横田代です。
ここから振り返ると、雄大な至仏山が見えるはずでしたが、
残念ながら上半分はガスの中。


ワタスゲは前夜の雨でフワフワからペタペタになっています。
しかし木道の両側にはお花畑が広がっていて、
黄色いキンコウカが満開です。




アヤメ平に近づくにつれ、キンコウカがますます増えていきます。


アヤメ平に到着です。
アヤメ平は標高1960mに広がる、
360度の遮るものがない空中庭園のような高層湿原です。
湿原には池塘(ちとう)が点在し、その美しさから「天上の楽園」と称されている絶景スポットです。
( ※ 池塘とは、湿原や泥炭地に自然とできた池や沼のこと。)
晴れていれば正面に燧ケ岳、背後に至仏山、
そして尾瀬ヶ原を見下ろせる場所です。
今回はガスっていて、うっすら見えるだけでした。

この場所は見渡す限り、たくさんのお花たちに囲まれています。
周りのお花を愛でながらこちらのベンチでお昼ご飯にしました。
見晴らしは最高。
ただ、標高が高いだけあって、風は非常に冷たかったです。
少し凍えながらのランチになりました。
ぽかぽかの陽気だったらもっと良かったのですが。
こういうところは、尾瀬のあるあるかもしれませんね。

アヤメ平は日本屈指の「自然復帰(湿原回復)の聖地」で
尾瀬の植生復元作業もここから始まったそうです。

アヤメ平という名前は花が咲く前の時期に
細長いキンコウカの葉をアヤメの葉と見間違えたことが由来と言われています。
今年はキンコウカの当たり年らしく、あたり一面がキンコウカで真っ黄色です。

昼食後は宿泊地である見晴へ向けて
約560mの高低差を一気に下っていきます。

アヤメ平から富士見峠は向って歩いた途中にある
富士見田代・長沢新道分岐から左に折れて竜宮へ下ります。
この曲がり角には小さな池(大きめの池塘)があります。
晴れていれば水面に映る「逆さ燧」が美しい景勝地ですが、
今回は映らず…残念。

長沢新道をひたすら下ります。

長沢橋に着きました。
この橋は昨年雪の重み(雪害)によって折れて破損し、
昨年7月末まで通行止めになっていましたが、
今年は安全に渡れるようになっています。
もう一つ奥のコース・八木沢道の八木沢橋も同様に昨年破損し、
八木沢道は今シーズンも当面通行止めのようです。

尾瀬ヶ原まで下りてきました。
熊鈴が設置してあります。お花の種類も増えてきました。


キンコウカ(黄金花・金光花)を近くで見たらこんなにキレイです。
花が黄金に輝き美しいことからその名が付けられたそう。
花言葉はなぜか、「威厳」と「物忘れ」だそうです。

紫色の花は、コバギボウシ(小葉擬宝珠)。

ギボウシのつぼみのイラスト。

擬宝珠(ぎぼうし)とは橋の欄干にある柱飾りのことで、
ギボウシのつぼみがこの形ににていることから名付けられたそうです。
さらに、橋の擬宝珠は、もともと仏様が手に持つ宝の珠に似ていることが由来だそうです。

コオニユリ(小鬼百合)の花は、クルマユリの花に似ていて判別が難しいです。
尾瀬の湿原に咲くのは、オニユリよりは小さく、
連なって咲かないコオニユリのようです。
赤鬼の顔のようにオレンジ地に茶色い模様があり、
花びらが大きく反っているのが特徴。
花言葉は、「情熱」「賢者」「陽気」「愉快」。
パークボランティアの方いわく、
コオニユリの花は6枚の花ビラがあるように見えますが、
実は3枚が花びらで3枚がガクなんだそうです。
手で触ると花びらとガクでは厚みが違うのだとか。
へぇ~!という意外なウンチクを教えていただきました。

かわいい白い花の集まりはドクゼリ。
実は、ドクウツギ、トリカブトと並んで日本三大有毒植物の一つだそうです。
毒の成分は皮膚からも吸収されるので、触ってはいけません。
牛や馬ですら間違ってこれを食べると死んでしまうらしいです。


ヒツジグサという小型のスイレン。

そうこうしていると目の前に
本日のお宿、弥四郎小屋が見えてきました。
もうひと頑張りです。

今晩お世話になる弥四郎小屋に到着。
男性2名で一部屋、
女性9名はちょうど玄関の真上の大部屋を使わせていただきました。


弥四郎小屋の目の前にある「弥四郎清水」は、
燧ケ岳からの伏流水が
こんこんと湧き出ている天然の無料水場(湧き水)です。
弥四郎小屋ではこの湧水を沸かしたお風呂に入ることができます。

お風呂の前にまずは…
弥四郎小屋に併設されたカフェで冷えた生ビール、氷マンゴーラテで乾杯。
このカフェはビール以外にもノンアルドリンク、ハーブティーも充実しています。

そして外のベンチでも乾杯。
その後隣の尾瀬小屋でも乾杯。とはしご酒…(笑)



夕食前にはお風呂で汗を流し、さっぱりしました。
ちなみに弥四郎小屋には、備え付けのボディソープとシャンプーがありました。
嬉しい充実ぶりに感激です。
さらには、大部屋で全員一緒に布団を並べた様子は、
まるで修学旅行のようでとっても楽しかったですよ。
みんなでトランプを持ってくればよかった~なんて話していて、
学生時代の思い出がよみがえるようでした♪

夕ご飯はハンバーグがメインで
地元の野菜で作られた副菜とデザートには杏仁豆腐もあり、
おなかいっぱい大満足でした。


夜には尾瀬パークボランティアによるスライドショーがあり、
尾瀬の自然や環境保護の取り組みなど興味深いお話を聞くことができました。
この後には真っ暗の尾瀬ヶ原にホタル観察にも連れて行っていただきました。

そして、2日目の朝です。
おいしい朝ごはんもたっぷり食べて、さあ、出発です。

帰りは見晴から東電尾瀬橋、ヨッピ吊橋を通って
山の鼻に抜ける尾瀬ヶ原北側ルートを歩きます。
東電小屋へ向かう途中の「東電尾瀬橋」は
福島県(桧枝岐村)と新潟県(魚沼市)の県境です。
この辺りから霧雨から本格的な雨に変わってきました。



そして東電小屋に着く頃には雷が鳴る大雨に。
タイミングよく東電小屋の軒先で雨宿りできましたが、
尾瀬ヶ原での雷は隠れるところがないので、
雷がおさまったところで恐る恐る歩き出しました。



山の鼻に到着すれば、温かいラーメンやうどんが食べられると言い聞かせ、
ひたすら雨の中を歩いて山の鼻を目指します。
しかし.…山の鼻には少し早く着きすぎたようです。
3つの山小屋は売店の販売のみで、
ラーメンなどの軽食はまだ食べられませんでした。残念!
なので、山の鼻では軽く休憩をとった後、
鳩待峠へ向けて再び雨の中、もくもくと歩きました。
山の鼻に着くまでに歩荷(ぼっか)さん3人が
雨の中、重そうな荷物を運んでくださっていました。
そのおかげで山小屋では美味しいご飯を食べることができました。
本当に感謝ですね。
( ※ 歩荷とは、車やヘリコプターが入れない山道で、食料や燃料などを背負子(しょいこ)に積んで、歩いて運ぶ仕事やその人たちのこと。)
山の鼻から鳩待峠までは、ラストスパートで登りが続きます。
この頃には雨は上がってきましたが、最後の150mは相当キツかったです。
あまりにもキツすぎて、山の鼻から鳩待峠そしてゴール後の写真は
うっかり撮り忘れてしまいました。(笑)
らくらく歩ける、尾瀬のゆるふわハイクのつもりが、
後半は修行僧のごとく、ひたすら歩いて終わったしんどい山行でした。
しかし1日目のアヤメ平の天空湿原歩きと
山小屋とは思えない充実設備の弥四郎小屋でのお泊まりは
最高の思い出になりました。
尾瀬が初めて、一泊山行が初めてという新しいメンバーにも
存分に楽しんでいただけたようです。
また次の機会に晴天の尾瀬ヶ原歩きを満喫しようと思います。

こんな感じで1泊2日の楽しい山旅を堪能されたようです。
みなさま、お疲れさまでございました。
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